君の全部になりたい【完】




「寺門。」



「…新堂くん」



聞き慣れた声に顔を上げると本日2度目の新堂くん。



「寺門の完璧超絶イケメン執事は?」



「あー……ちょっと、ね。新堂くんの執事は?」



「あいつはサボり癖がすごいから、今タバコ吸いに行ってる。」



やばいでしょ、と笑う。



「そっか。」



「こんなところでかわい子ちゃん1人でいると危ねぇぞ。」


そう言って女性慣れした手つきで、私の頭をポンっと撫でる。



「…私、別に可愛くなんてないよ。」



「可愛いよ、寺門は。」


夜風がぶわっと吹いて、思いがけない言葉にびっくりする。



「なっ、変な冗談やめてよっ」


やけに真剣な新堂くんの表情に、変な汗が出てくる。




「美桜様っ、」



探したました、と駆け寄って来る爽。

なんか相当焦ってる顔してる…


「爽…」


小川さんの告白、終わったのかな。