君の全部になりたい【完】




「捨てるんなら俺にちょーだい。」



金髪の髪と揺れるピアスが特徴。


クラスのお調子者。



「こんなのでいいの…?」




「うん、俺のこんな出来だから。」



そう言って見せられたのは、形にもなってない凸凹の布。



新堂くんらしくて、ちょっと笑みが溢れる。



「ふふっ、じゃああげる!」


そう言って、私のコースターを差し出す。


爽にあげるって約束した物だけど、…いいよね。


「さんきゅ、超嬉しい。」



満足げに笑って、嬉しそうに手に持つ新堂くん。



「美桜」



教室の扉の付近から聞こえた、低い声に思考が停止する。


…やばい。


「っ、爽…」



あきらかに不機嫌そうな爽の姿。



「寺門の執事だよな?」



「う、うん」



「今、美桜って、…もしかして付き合って、」


新堂くんのいいたいことが大体わかって食い気味に言葉を被せる。



「そんなわけないじゃんっ。爽はただの執事だよ。」


執事は名前に様ってつけて呼ぶのが普通だもん。びっくりするのは無理ない。


「…そうなんだ。じゃ、俺行くわ!」