君の全部になりたい【完】





「それ、意味わかって言ってんのっ…?」



喉から絞り出したような声が聞こえたかと思えば、



グイッーー



「へ、っ」



気がつくと、景色が半回転していて、私の上には爽が覆い被さっていた。




「こっちがどんだけ我慢してると思ってんだよ。」




重力に負けて、私にかかる爽の髪が、爽の表情を上手く隠す。



ちっ、近い。



「あー、もう限界。」



限界、と艶めいて色っぽく笑って、薄い唇が弧を描いてスローモーションで近づいてくる。



「いっ、ん」



月が雲に隠れ、月明かりがなくなって、真っ暗になる部屋の中、



近づいてきた、唇は、私の鎖骨に落ちる。



チクッとした痛みが襲う。



何が起こったのか分からなくて、涙目で爽を見つめると、



「何?もっとほしいんだ?」



タガが外れたように、そうやっていたずらに問うんだ。