君の全部になりたい【完】




「電気消しますね、おやすみなさい。」



こちらを一度も見ずに、リモコンで電気を消して、背を向けて眠ろうとしてしまう、爽に寂しさを覚える。



…なんか、違う。




「ねえ、爽。」



「…はい。」



「抱きしめてほしいの。」




すごく落ち着くの。爽に抱きしめられると。



だから、その中で眠りにつきたいと望んでしまう。



そんな中で眠れたらどれだけ気持ちいいんだろう、って。



「はぁ、」



あからさまに大きなため息をついて、シーツが擦れるくしゃって音がして、爽がこっちを向く。



表情は、月明かりに照らされてるけどよく見えない。



でも、こっちは向いてくれたものの、いつまで経っても抱きしめてくれない。



だから、




「っ、!」




自分から抱きついた。




その瞬間、分かりやすく爽の身体がびくっと反応するのがわかった。