君の全部になりたい【完】



「でも相手はメイドの子だから、叶うか分からない。」




その弱々しい姿に、恋バナなんてしたことのない私はかける言葉を必死に探す。




「…ま、誠さんなら大丈夫だよ!」




「な、何を根拠に…」




悩ましい表情を浮かべ、私を凝視する。




「私のパパもね、メイドだったママに一目惚れして結婚したの!だから、きっと大丈夫!」



「え、本当?」




「本当だよ!だから頑張って!」





こんなにいい人なんだから、うまく行ってほしいよね。



…やっぱり令息とメイドの恋って本人たちも戸惑うよね。




私も、もし、爽と…って、私何考えるの。




爽とは絶対に結ばれることはない、結ばれるわけにはいかないのに。




恋、ってワードに引っかかって、何度脳内で振り切っても、現れるのは爽だった。




…私って恋、してるのかな?