君の全部になりたい【完】




「そっ、そんな、謝らないでっ!私も恋をしたことなくて、パパにお見合いをすれば何か分かるかもしれないって言われて今日きただけなの!」



「なら、よかった。」



安堵のため息を漏らし、顔色を明るくする誠さん。



「あのっ、恋ってどんな気持ちになるの?」



すごく気になるの。



みんな当たり前に恋をして、ときめいたりしてるけど、実際そんな近くにあるものなの?




私にはまだまだ遠いように感じるのに。



「んー、とにかくその人のこと考えちゃうんだよ。離れてても。…自分では自制が効かなくなる。」




「…自制」



そんなこと考えたこともなかった。



離れてても考えてしまう人かぁ。



頭の中にふわっと浮かびそうになったその人物をなんとか掻き消す。




爽は、違うんだからっ!