一気に静寂に包まれる部屋。
さっきまでパパたちしか話してなかったことがよくわかる。
ちらっと彼に目を配ると、今日初めて視線が合った。
きっとお見合いなんてお互い初めてで、緊張している。
「…誠さんは、お見合いとか初めてですか?」
正座をしてる太ももの上に置いた手を握りしめ、意を決して話しかける。
「うん。美桜さんも初めて?」
本当に同じ年月を生きてきたのかと疑問になるほど、落ち着いていて穏やかな声。
その穏やかさは見た目にも表れていて、黒縁のメガネの奥には優しく下がる目尻。
爽とはまた違うタイプのイケメン。
「はい。」
「同い年だよね?タメ口で話そうよ。」
「う、うん、わかった。」
「僕たちの年齢でお見合いって早すぎるよね。」
参ったね、と笑う誠さん。
確かに普通の女の子だったら、絶対にありえないんだろうな。
私たちが生まれた環境ってちょっと変わってるからね。



