「おー、美桜可愛いぞー。さすが私の娘だ!」



お見合い当日、あの時選んだ薄いピンクの振袖を身に纏う私にパパが興奮した様子で近づいてくる。




「もう、やめて、恥ずかしい。」



親バカなんだから。



「爽もそう思うだろ?」



パパの質問に、




「はい、とてもお綺麗です。」




絞り出したような、いつもの爽にしては少し細い声。


爽も綺麗って思ってくれてるんだ。



「爽がもらってくれてもいいんだぞ!」




がはは、と笑うパパは今日も能天気そのもの。



なっ、何言ってんの!



答えの行方が気になって、爽を見ると、




「いえ、私に美桜様は身に余りますので。」




表情ひとつ変えず、まるでもう用意してあったテンプレートのように答えた。



その言葉に、心を針で突かれたようにちくちく痛む。



爽なんて、知らないっ。



パパだって冗談ぽく言ったんだから、もう少し柔らかい返しをしてくたっていいのに。




これじゃまるで私が振られちゃったみたいじゃん。