君の全部になりたい【完】



…私は教室に戻ろう。



「何あれ〜」



「っ、恵か…」



逃げるように競歩で廊下を歩き始めた私に、不機嫌そうに声をかけてきたのは恵だった。



ちょっとでも爽かも、って期待した自分に呆れる。




「爽さんじゃなくて、悪かったですね」






「ちょ、ちがっ」




図星をつかれて咄嗟に否定しようと思ったけど、恵の目には何も誤魔化すことできない気がしてやめた。




「あれは強敵ライバルだねぇ。」




「らいばる…?」




「美桜は爽さんのことどう思ってるの?」




どう、って。



幼馴染で、お兄ちゃんみたいな存在で、




「かけがえのない兄弟…?」




「…兄弟?」




はあ?と疑惑の目が向けられる。