「このままだと寺門様が火傷してしまいますっ!」
「そうよ、爽さんならきっと大丈夫よ!」
大関の後ろにいた恵が、そういう。
逃げ惑う人たちが私の後ろを駆けていく。
遠くで消防車の音がして、目の前の光景に気が遠のいて行く。
どれくらい経ったかわからない。
力が入らなくなって座り込む。
もう一度大きな音がして、火の粉が舞った時、
見つめる先。奥の方から爽の姿が見えた。
「…さ、っ爽!」
両脇には呑気な顔して草をもぐもぐしているぴょんすけとぴょんこの姿。
「美桜様、お待たせしました。」
微笑む爽を見て、感情が込み上げる。
…また、爽がいなくなっちゃうかと思った。
今度は確実に私のせいで。
「爽、怪我してるっ」
頬に擦り傷ができて血が出てる。
「これくらい大丈夫です。」
泣きじゃくる私を見て少し困ったような、でも嬉しそうな表情を見せる爽。



