「明日もこのジャムを使った朝ごはんがいい!」
「承知いたしました。」
にこりとそよ風のように優しく笑う爽。
「美桜様、ジャムが頬についてます。」
「へ?どこ?」
手で両頬を触ってみるけど、どこについているのかわからない。
布巾で拭くのが普通なのにこんなガサツなところ作法の先生に見られたら怒られちゃうね。
「ここです。」
爽の手が、私の頬に伸びて、親指で優しく拭う。
「っ…、」
親指についたジャムを見せてくれるけど、それどころじゃない。
顔が一気に熱くなるのがわかる。
「顔、真っ赤ですね。」
にやっと薄い唇が弧を描き、意地悪な笑顔が浮かぶ。
久しぶりにみた爽のイタズラな笑顔に、言葉が詰まる。
「っ、う、うるさい!」
もう、なにさ突然。
でもやっぱり爽は爽なんだって、わかって嬉しかった。
前と同じ、私がびっくりすることをして反応を面白がってる。



