ふわふわ、まどろみの中、




夢と現実の間、




白く半透明な空間、揺れる視界





『美桜…約束守れなくて、ごめん、』




低くて心地のいい爽の声が響いて、





悲しそうな顔をして、






まるで宝物に触れるみたいに、私の頬を優しく撫でて、




大好きなアールグレイの香りがして、





ゆっくり唇にキスを落とす…ーーーーー





これは現実?約束ってなんだっけ?





その瞬間、爽は幻のように消えてってしまう。





「っ待って、爽っ!」




無意識に叫んで、急いで体を起こすと夢だったと分かる。



ぽろぽろと流れている涙。




「まただ…」




夜中、やけに広い部屋に私の呟く声。



3年前、幼馴染の爽が突然イギリスに留学してしまってから定期的に見るようになった夢。


爽がいなくなって、私の心の穴はとても大きくなっていた。