今年は転入生いないのかぁ。
せっかく高等部になったのに、見慣れた顔ぶればかりで退屈に思っていると、
「どうなの、爽さんとの再会。」
恵のその声に少し考える。
「うーん。どうもこうもないよ?ずっと待ってたのに、爽はあんな感じで執事全開だし。なんか寂しい。」
前みたいにもっとふざけたりしたよね。
帰ってきてから生まれ変わったみたいに、他人行儀なんだもん。
「そっか。美桜ずっと待ってたのにね?」
「そうだよ。聞きたいこととかたくさんあるのに」
「あらー、転入そうそう人気みたいね。」
恵の見つめる先を見ると、令嬢に囲まれている爽の姿。
あの調子じゃ自分のコースに辿り着けないね。
「本当だね。爽の周りには昔から人が集まるからね。」
爽はすごい。本当に器用で、誰にでもすぐに溶け込んでしまう。うまく説明できないけど、人が集まるオーラを放っている。
「まああれだけイケメンだったら、無理もないわね。」
納得したように呟く恵。
確かに令嬢の人が、執事である人間に声をかけるなんてあまりないこと。
しかもあんなにたくさんの令嬢をもう虜にしてる。



