「美桜、おはよう。」


来慣れない学園の高等部の棟に新鮮な気持ちでいると。


聞き慣れた声がして振り返る。



「恵おはよう!今年も同じクラスで嬉しいね。」



西園寺恵(さいおんじめぐみ)、私の親友。


家は、由緒正しき茶道の名門、西園寺茶屋の令嬢。



ストレートで黒くて長い髪の毛は、今日も光を集めて輝いている。




「西園寺様、ご無沙汰しております。」



隣にいた爽が深々とお辞儀をする。


「爽さん、久しぶりね。相変わらずイケメン。」



幼稚園のころからうちへよく遊びに来ていた、恵のことは爽も知っている。



「恐縮でございます。」




「美桜様、では私はこれで失礼致します。」




気がつくと1-Dと新しい教室の前。



教室に入る私を見届けて、爽は執事メイドコースの校舎へ歩いていった。



執事メイドコースは令嬢令息を送り迎えするために、始まりは15分遅く、終わりは15分早い。