君の全部になりたい【完】




「これって、」



「俺たち、付き合っても執事とお嬢様でいられるんだよ。」



夢みたい。



「…本当、?」




「本当だよ。この文章を見て、いてもたってもいられなくて、走って帰ってきた。」


その言葉が嬉しくて、絶対にないって思ってたから、


分かってるけど頭では理解は出来てたけど、


どうしても心が言うことを聞いてくれなくて、ずっと苦しかったの。




「私、爽に好きっていいのっ……?」



溢れ出す涙。


やっと、伝えられる。



「うん、言って」



「…爽、だいっ、」



言い切らないところで、もう一度強く抱きしめられた。



「俺も。」



「まだ言い切ってないよっ」



「ごめん、もう一回。」




私を解放して、ちゃんと目を見て来る爽に、ぎゅうって胸が苦しくなる。