君の全部になりたい【完】



「…じゃあ、入ってみる?」


悪魔の囁き。


「え、」



「怖い?」


意地悪に笑って、挑発する言葉。



「こ、怖くないよっ!行こう!」


そう言って爽の手を引っ張って、お化け屋敷に入った、


のは、良いものの、



「爽っ、」



怖すぎる!!

真っ暗な中、ひんやりした風が通って、呻き声が聞こえる。



もう手を繋いでるだけじゃ、心もとなさすぎて、ピッタリと爽に体を密着させる。



「ちょ、」


焦った爽の声なんて耳に入らず。



「無理っ、かも…」


半泣き状態で、なんとかお化け屋敷を出た。



それからも色んな乗り物に乗って、気がついたらもう夕方。



西陽が眩しくなっていた。



そろそろ閉園の時間。



「楽しかったね。最後に観覧車乗らない?」



「おう。」



最後は私たちの大好きな観覧車。


小さい頃から高いところが大好きな私たちは、よく庭の木に登って怒られていた。