当日、私の希望しますで車での送迎はなしにしてもらって、普通に電車に乗って行くことにした。



「お待たせ。」



家の門の前、待ち合わせに登場した私服姿の爽に息を呑む。


…かっこいい。



久しぶりに見た爽の私服は、私を火照らすには十分だった。



黒いスキニーに、白いTシャツを着てるだけなのにモデルみたい。



「…っ、うん。行こう!」



…なんか緊張する。


いつの間にか"執事とお嬢様"に慣れていて、幼馴染ってなったら何を話していたのか、どういう距離感だったのか分からないや。



「…で、電車乗るの久しぶりだなあ」



不器用に展開する会話。



「美桜切符の買い方とかわかんの?」


駅についてバカにしたように爽がこっちを見て来る。


…電車に乗るのは…あれ?何年ぶりだろう。