君の全部になりたい【完】




そんな時だった、


「美桜様、忘れ物がございましたのでお届けに参りました。」


「爽!」


自分のコースへ行ったはずの爽が、私が預けていた荷物を渡しそびれたと戻ってきた。


爽の登場に、クラスメイトの令嬢たちがかっこいいー、と吐息を漏らす。



「あ!!爽さんは!?美桜、家でも特訓してもらってるって言ってたじゃん!」


閃いた!と嬉しそうにいう恵。


「?…なんの話ですか?」


何も知らない爽はきょとんとしている。



「今日、新堂くんいきなり体調崩しちゃって、美桜の相手がいないんです。他に踊れる人もいなくて。」



「…そういうことでしたか。」



「いやでも、爽はコースも学年も違うし、それに自分の出番だったあるしっ」



そんないくらなんでも、コースも学年も違う爽に代役をお願いするのは気が引けるよ。


いいじゃん、いいじゃんと暴走するクラスメイトたちの意見を必死にかき消す。