君の全部になりたい【完】




そんな視線からすぐ目を逸らして、否定をするけどもう遅かったみたい。




「はぁ、可愛すぎんだろ…」



吐息に乗ってあまりにも自然に呟かれた声。



繋がれていた両手は気付けば離されていて、爽の腕は私の背中に回っていた。



「っ、爽、…」


また簡単にアールグレイに包まれる。



「ごめん、ちょっと充電。」


そう言って、ぎゅっとさらに強く抱きしめられる。



「うん…」


ドキドキするっ、


けどすごく安心する。ずっとこのままでいいのに。



そんな願いも虚しく数秒すると充電は完了したみたいで、ストイックな爽との練習はなんと1時間にも及んだ。



「まあまあ、出来てきましたね。」



「うん、ありがとう。」




「いいえ。美桜様、両手もう一度貸してください。」



「…どうしたの?」



言われるがまま両手を爽に差し出す。