君の全部になりたい【完】





「…爽は、小川さんとペアになったりしてない?」


一番の気掛かりはそこだった。


だって、クジかどうかなんて担任の先生の気分だもん。


「そもそもクラスが別なので、ペアにはなりませんよ。」


あっそうか。

この間、付き合わないでって泣いてしまったから、安心させるためにゆっくり目を見て伝えてくれる爽。


…もう、私の気持ち伝わってしまってるかな?


爽も気付いてて、気づかないフリしてくれてるだけ?



そんなことを考えながら廊下を歩いていると、



「美桜様は昔からダンスは苦手ですよね?」


意地悪な爽の表情。


絶対バカにしてるんだ。



「うっ、変なこと覚えてるね。」


爽はなんでも卒なく出来るもんね。



「家に帰ったら、私と特訓しましょうか。」


「へ?」


予想もしてなかった言葉に、唖然とする。


「嫌ですか?」


「ううんっ、嫌じゃ、ない。」