君の全部になりたい【完】




「なーんだ、いいとこで来るんだから。」


空気読めよ、と苦笑いする新堂くんに爽が殺気を放ちながら睨み返す。



「そんな睨むくらい、取られたくねぇんだったら目離すなよ。」



聞いたことがないくらい低い新堂くんの声。



「なんの話ですか。」




「そーやって、カッコつけてると俺が貰っちゃうよ?」



「…させるかよ。」



どう言うことかわからないけど、何か取り合ってる?


そんなことを考えていると新堂くんは瞬く間に、消えていって、テラスに爽と2人。



…今は爽の顔、見たくないのに。



「美桜様、何もされてませんか?」


イスに座る私に目線を合わせるように、しゃがみ込んでそう問う。


「…うん。」


目、合わせられない。


「本当に?」


「本当だって…」



「じゃあ、なんでそんな元気ないわけ?」



見透かすような目。元凶は爽だよ?