その日以来、先生との個別学習は続いている。
先生のおかげで、期末テストはいい点数がとれた。


桃の部活がある日に、部活が終わるのを待っている時間が個別学習の日。
先生と話しているうちに、先生のいろいろなところが分かってきた。

先生は家で猫を飼っていること。
好きな食べ物はラーメンで、苦手な食べ物はトマトなこと。
いつの間にか、先生と過ごす時間が楽しみになっている自分がいた。



「そういえばこの前、先生が美味しいって言ってたラーメン屋さん桃と行ってきました」

「あそこの醤油ラーメンは格別なんだよな…俺も食べたいなぁ」
先生の横顔が夕日に照らされてきれいだ。

「桃は美味しいって言って2杯食べてました」

「えっ?2杯?さすが食べ盛りだなー」

そんな他愛もない話で盛り上がる。
先生との話が楽しくて、つい勉強する手が止まってしまう。
楽しく話をしていると、部活を終えた桃が教室に戻ってきた。

「楽しそうな声が廊下にも聞こえてますよ〜」
桃は私を見ながらニヤニヤしている。

これ以上、桃と先生が同じ空間にいると桃が余計なことを言いそうだから、勉強を切り上げることにした。

桃は
「もう少し先生に勉強教えてもらいなよ!あたしはどこかで待ってるから!」
なんて言っていたけど。




もうすぐ夏休み。
夏休みといっても私の通っている学校は夏期講習が多くて、夏休みって感じがしない。
終業式が終わっても、次の日から夏期講習が始まるだけだ。

夏休みになっても先生と会えることが、何となく嬉しく感じてしまう自分がよく分からない。
高校2年生の夏休み。
たくさん勉強して成績をあげたい。