放課後の教室で先生に声をかけようとするも、人気者の先生だ。
常に周りに生徒がいる。
やっぱり先生と二人きりになるには、いつも勉強を教えてもらっている時間が狙い目なのかもしれない。
ドキドキしながら、いつもの時間まで待つことにした。
気を紛らわせるためにも、図書室に行こう。



図書室は静かで落ち着く。
深呼吸をして、心を落ち着かせる。
せっかく時間があるし、課題をすることにした。



得意な国語の課題はスラスラ解けたのに、苦手な数学の課題は手間どってしまう。
一生懸命になりながら解いていると、フッと近くに人影が現れた。
春野先生だ。

「その問題、桜木が苦手なとこでしょ?」
得意気な顔をした先生が、私を覗き込む。
確か、前もこんなシチュエーションがあったような気がする。

「そうなんです。どんなに考えても分からなくて…教室で教えてもらえたりしますか?」
教室に誰もいなければ、先生と二人きりだ。