式が終わると同時に桃が
「あの先生、モテそうだよね~」
と言う。

確かに、端正な顔立ちをしていた。

「芽玖、どうよ?ああいう先生は?」
と桃がニヤニヤしながら聞いてくる。

「え~顔がよくてもな~…」
「芽玖は真面目だー!ほら、周りの子たちなんて、もう『かっこい~!』って騒いでるよ」

桃が言う通り、周りの女子が楽しそうに先生について話している。
そんな女子たちの横を通り過ぎながら、教室に戻った。









席に着くと、担任の先生から改めて挨拶があった。
「昨年度、一緒だった子もいるかもしれないけど、改めてよろしくね。それと…みなさんに大事なお知らせがあります」

一瞬教室がザワザワする。
「はいはい、みなさん静かに。私事ですが、二人目の子どもが生まれることになりました」

教室から『おぉー』という歓声があがる。
私も桃も思わず拍手をした。

「みんなありがとう。それで、私が急に学校を休むことがあるかもしれないから、補助の先生が教室でお手伝いしてくれることになりました。今日から新しく赴任してきた春野(はるや)先生です。」

教室の女子が『あっ』と声をあげる。
教卓に現れたのは、私がさっき転校生と見間違えた先生だった。