スタートして10分くらい経った頃。
普段走っているときとは違う感覚がして、気持ちが悪くなった。
頭がぐるぐるするような…すぐに横になりたい。

どうしようか迷っていると急に目の前が真っ暗になって、道に倒れてしまった。
遠くで誰か声をかけてくれているような…でも何て言ってるか分からない。

しばらく目を瞑ってそのまま倒れ込んでいると、誰かに抱き上げられた感じがした。
安心する匂い。
心地よい感覚に包まれて、そのまま眠ってしまった。








目が覚めると保健室のベットの中だった。
マラソンの途中で気分が悪くなって倒れてしまったみたい。
保健室の先生には、貧血じゃないかと言われた。



しばらくぼんやりしていると、ジャージ姿の桃が息を切らして保健室に飛び込んできた。

「芽玖!大丈夫!?倒れたって聞いたから心配で心配で…」
心配性の桃は涙目だ。

「大丈夫。ただの貧血だって。心配させてごめんね」

「よかった〜」
ほっと一息ついた桃は急に表情を変えてにっこりとした。

「先生にお姫様抱っこされてよかったじゃん!」
衝撃的な一言だ。