「熱帯魚……」
「……が気に入りました?」
「うーん、やっぱり違うかな……」
何なの? 生物部の生き物じゃ、お気に召さないってこと?
「岩藤くんは何してたの?」
今度はサクトに寄っていった。
「えっ、勉強? しかも英語?」
サクトがきまりが悪そうに、うつむいて言った。
「……いつもここで勉強してるんです」
「図書室じゃなくて?」
「……はい、生物室で」
「確かに、ここならひとりだし、図書室より静かだね」
続いて『どうして生物室で勉強を?』って質問がきたら何て答えようかと悩んでいたサクトは、『えっ』と驚いて顔を上げた。
サクトとリョウカの視線が交わった。
きゃ、きゃっ! サクトの鼓動のせいで、水槽の水面まで揺れそう。



