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リョウカとレミがパタパタと音を立てながら早足で行ってしまったあとも、サクトはその場に留まっていた。
「……か、かわいかった。そ、それに、いいにおいがした……」
サクトは『わー』と言いながら頭を抱えた。
色白なサクトだけれど、今は頬が上気している。私とおそろいのピンク色だ。
「あっ、でも『もう1回』って、いつ来るんだ!? 僕以外が当番の日だったら? ど、どうしたらいい? これから毎日、僕を当番にしてもらえばいいのか?」
今度は顔を青くした。
今日のサクトは感情がコロコロ変わって忙しいね。
平日は毎日会っている私にとっても新鮮だった。
キーンコーーン……カーンコーーン……
再びチャイムが聞こえてきた。
「うわっ、やっべー! 本鈴だっ」
サクトは大急ぎで廊下を駆けて行った。



