サクトは最後に私の前にやって来た。
ピンセットを使って餌をつまみ、そうっと水槽の中に沈めた。
レミがリョウカの肩を軽くつついて、サクトを指差した。
サクトの動揺が伝わって、餌が揺れる。
「リョウカ、見てて」
「うん。で、この生き物は何?」
えっ、私のこと、知らないの? この真の生物部のアイドルを? 信じられなーい!
「ウーパールーパーだよ」
「あっ、これがウーパールーパーなんだ」
そうよ! 私のこと、覚えておきなさいよ。
私はあなた、佐々井リョウカのことをよーく知っているっていうのに、失礼しちゃうわ。さっき感心なお嬢さんだと思ったのは取り消しよ、取り消し!



