驚愕し過ぎて、声も出せないらしい。
でも、それはいただけないわー。
サクトのことを知らないリョウカの目には、歓迎されていないように映っちゃうんじゃない?
そこは愛想よく微笑みながら『どうぞ』のひと言ぐらい言おうよー!
けれどリョウカは私の心配に反して、サクトの態度をちっとも気にしていないようだ。
サクトににっこりと微笑みかけた。
「ありがとう!」
サクトに引き換え、なんて感じのいいお嬢さんなの! 感心だわー。
「岩藤くん、私たちのことは無視して餌やりしてくれていいから」
「あっ、はい……」
レミに言われてやっとサクトは再び動き出した。
サクトは熱帯魚の水槽に餌をパラパラと撒き、隣のどじょうが住む水槽に移動した。
すると、サクトがさっきまで立っていた位置に、今度はレミとそしてリョウカがやってきた。そして、2人して熱帯魚の水槽に顔を寄せた。
「この子がコリドラスで……あっ、今のはアカヒレ」
「さっすが生物部。名前がスラスラ出てくるんだね」



