恋の行く末、ガラス越しに水の底から見守って…


 何をそんなに驚くことがあるの?


 私もサクトと同じ方角を見た。


 あらまー! これは大変っ! びっくり仰天だわっ!!


 サクトの気持ちを完璧に理解できた。


「この子は私と同じクラスの佐々井リョウカ。生物部で飼育してる生き物を見せたくて連れてきたの」


 どうやらレミは、以前にサクトからリョウカについて質問されたことがあるのを忘れているみたいだった。


 レミに紹介されたリョウカは、ペコリと頭を下げた。


 思いがけない意中の人の登場に、サクトは無表情のままガッチガチに固まってしまった。


 リョウカが都合よく、クールなイケメンと勘違いしてくれますように、なむなむ……


 熱帯魚の餌をもつサクトの手が微かに震えた。


 サクトは慌てて餌を握り直した。


「彼は生物部1年生の岩藤サクトくん。岩藤くん、邪魔しないようにするから見学させてもらっていい?」


 サクトはコクッとだけ頷いた。