あの日ふたりは夢を描いた

「……あなたはいつも前向きでいいね」

「人を笑顔にしたいなら、まずは自分が笑顔でいないといけないからね」

そう言う彼はまたいつもの笑顔に戻っていた。

私はとりあえず、みんなみたいに普通の生活が送れるようになることが今の夢だな……

生き生きと夢を語る彼とは大違いで、途方に暮れながらそんなことを心の中で嘆く私。

だけど私は気づいたんだ。彼といるとき、気負わず自然に話すことができている自分に。

彼は人の懐に入り込むことが本当に上手で、安心感をくれる人だった。

「きみはまた近いうちに素敵な夢を描けるよ。保証する。僕は本当のきみを知っているから」

彼はそれだけ言って微笑んだ。