あの日ふたりは夢を描いた

もうあなたはアイドルだよ。そう言いたいぐらいに。

「きみはさ、どうして古書店でアルバイトを?」

「一番の理由はやっぱり、本が好きだから」

隣で彼がふふっと笑う。

「知ってる。今度行ってもいいかな?」

「埃だらけできらきらアイドルのあなたには場違いかも」

「構わない」

「それなら、……まあいいけど」

それを聞いた彼はご満悦の表情を見せた。

本当に来るなんて思えないけど、自分を知ってもらえるのは素直に嬉しい。

「きみの夢は?」

「……夢?考えたこともなかった」

「本当?」

「……昔あったかもしれないけど、どこかに置いてきたみたい」

「そっか」

そこでいったん話が終わり、私は彼につまらない人間だと思われたかなぁ、なんて思った。