あの日ふたりは夢を描いた

「ほら、行こ?」

そう言って差し出された右手を握っていいのか迷い、何秒かその手を見ていた。

彼がアイドルだということ思い出し、握るのをやめた。

ベッドから起き上がり、揃えてあった上履きを履いて二人で保健室をあとにした。

授業中のため静かな階段を歩くと、二人の足音だけが響いた。

屋上の重い扉を開けると、穏やかに吹く風が一瞬で身体を包み込み、眩しすぎる太陽に二人で目を細めた。

「いい天気だ。保健室で丸くなってるなんてもったいないだろ」

中央あたりまで足を進めると、彼は太陽に向かって大きく伸びをして爽やかに笑った。