『社会不安障害』を発症したのはたぶん、中学に入学してすぐの頃だったと思う。

一人ひとり自己紹介をする時間があって教壇の前に立ったとき、急にみんなの視線が怖くなって、用意していた文章も頭から全部飛んでいってしまった。

「……は、はじめまして。な、並木真白です…………」

なんとか名前は言えたのだが、そのあとは頭が真っ白になってただ時間が過ぎていった。

みんなは不思議そうにただこちらをじっと見ていた。顔が熱くなる感覚があり呼吸も苦しくなった。

どうしようどうしよう……とパニックになりながら思いついたありきたりな文章も、言葉がつかえて上手く話せずみんなに笑われてしまった。

たぶんそれがトラウマになっていて、また失敗するんじゃないかという恐怖と不安がいつも付きまとっている。