あの日ふたりは夢を描いた

そのことをお母さんに伝えたとき、お母さんは泣いて喜んだ。

進学しないときっぱり決断した娘の将来を本当に心配していたのだろう。

今年の一月、私の書いた小説が書籍化された。
本屋さんに並べられた私の本をお母さんと一緒に見に行った。

お母さんは友達に配ると言って、何冊か購入していた。


「真白、本当におめでとう」

家に帰ると、お母さんはケーキを焼いてお祝いしてくれた。

「みんなが私のことを理解して支えてくれたおかげだよ」

「書くのはあなた本人なんだから、一生懸命努力した結果よ」

「ありがとう。だけど一人じゃなにもできなかったから。書くことさえ諦めてたし」

「そんなふうに感謝できる人間性は必ず作品に影響するわ。その気持ちを大切にしなさい」

「ありがとう、お母さん」

今やっとスタートラインに立つことができた。

夢がちょっとずつ形になっている。