あの日ふたりは夢を描いた

「……気づいてあげられなくてごめんね」

涙がこぼれていた。どれだけ時が経ったとしても、悲しいものは悲しい。

答えのないことを書き込んだノートを無心でぺらぺらとめくった。

まだ空白が続いているノートの後半あたりになにかが見えた。


戻ってそのページを確認する。

……なに、これ。


【僕はきみを知っている。

きみの夢を、笑顔を、優しさを、魅力を。

だけどきみは僕を知らなくていいよ。

知らなくていいから、ただ笑っていてほしいんだ】

いつこのメッセージに気づいても不思議に思われない絶妙な文章で、彼のいつもの語り口調でそう書かれていた。

この文章は、あの日私たちが屋上で出会った日。

彼が化学室でこのノートを手にしたときに書いたものであることは明らかだった。

彼がこのノートに触れたのその一度きりだったから。


だとしたら、

そのときから彼は、先のことをすべてを見越してこの文書を書いた。