あの日ふたりは夢を描いた

「並木」

後ろから声をかけられ、振り向くと少し先に笑顔の真柄くんが立っていた。

「真柄くん」

「並木、今日バイトは?」

「ないよ。真っ直ぐ家に帰る」

「駅まで一緒に帰ろ」

「うん」

クラスは離れてしまったが、会うたびこんな感じで話している。

どきどきアルバイト先にも来てくれる。

「最近、みんな進路が決まり始めたね」

「あぁ、ほんとだよ」

「真柄くんはどうするの?」

いつもなんでもない話ばっかりだから、たまには真面目な話もいいかもしれない。

「俺は大学に行こうと思って受験勉強中。人の心理とかに興味あるから、そっちの方を学ぼうかなぁって」

「そっかぁ、心理学か。なんか面白そう。興味のあることをとことん追求できるといいね」

人の心理とかに詳しかったら、彼の本当の気持ちを理解できただろうか。

そんなことを少し考えてしまった。