あの日ふたりは夢を描いた



彼と出会ってから、文化祭が終わってから、私の毎日が少しずつ変わり始めていた。

「なんの本読んでるの?」

授業の合間に話しかけてきたのは、確か美術部に所属する眞野さんだ。
眞野しずかさん。

丸いメガネとふわふわの天然パーマで優しい雰囲気の子だ。

「えっ、えっと……」

急に話しかけられ一瞬たじろぐ。

「……なんて言うのかな、心が温まるような短編小説?短編なんだけど、一つ一つに繋がりがあって……ってごめんね、私説明が苦手で」

せっかく話しかけてくれたのに上手く話せない自分に肩を落とす。