あの日ふたりは夢を描いた

「……じゃあ次、並木さん。三段落目から読んでください」

「……はい」

とりあえずイスから立ち上がり、誰にも届ける気のないか細い声で返事をする。

一言目が出ない。

焦りと緊張が渦巻き、時間だけが過ぎる。


「並木さん?」

みんなが注目しているのがわかる。


……どうしようどうしようどうしよう。


「先生、並木さん朝から調子が悪いみたいで。僕が保健室に連れて行ってもいいですか?一応保健委員なので」

「えっ、並木さん大丈夫?そういえば顔色も良くないような……」

先生が片手に教科書を持ちながら心配そうな面持ちでこちらを見ている。