あの日ふたりは夢を描いた

「心配した?」

「……心配するに決まってるよ」

「重病だったらどうしようとか、いつか死ぬんじゃないかとか思った」

「……少しだけ。だってあんなにたくさんの薬が入ってたから…」

彼は吹き出して大きく笑い、私の頭にぽんと右手を乗せた。

「なんで笑うの?」

「そんな深刻そうな顔初めて見た」

「……深刻な顔にだってなるよ」

「ありがとう。きみがそんなに心配してくれるなんて思わなかった。

だけど全然見当違い」

「じゃあなんの薬なの?」

「皮膚科で処方された薬さ」

「皮膚科?」

「アイドルって仕事ではメイクが必須だし、不規則で睡眠不足が続く日も多いから肌が荒れちゃって。色々処方してもらってるんだ、僕は肌が弱いから」

彼はにこやかにそう答えた。確かにアイドルが化粧してテレビに出ているのは知っていたけど……

彼の肌はいつも艶やかで綺麗だから、そんなふうに悩んでいるようには見えなかった。