あの日ふたりは夢を描いた

気づくと彼の家の前まで来ていて、そこでただぼけっと立ち尽くすことしかできなかった。

「行こ?」

「本当にいいの?」

「なにも問題ないさ」

「あなただけの問題じゃないよ……」

嘆く私の言葉には反応せず、彼は門を開け「どうぞ?」と言って私を通した。

塀で囲まれた家は大きく上品な作りで、玄関まで続く石畳の両脇には広めの庭がある。

私は戸惑いながらも足を進め、彼は玄関で鍵を開け中に招き入れた。
広い玄関があり、すぐ目の前にはピアノが置かれていた。