あの日ふたりは夢を描いた

「傘は?」

図書館での一件もあってあまりよく顔が見れなかった。

俯きがちに「忘れちゃった…」とそう答える。

「なにしてんのほんと……」

いつも涼しい顔で微笑んでいる彼が、めずらしく怒ったような表情を見せていた。

「なんであなたが怒ってるの……」

「こんなにびしょ濡れで風邪ひくだろ」

被せ気味に強い口調でそう言われた。心配してくれてる……

だけどあまのじゃくな私は素直にその気持ちを受け取ることが難しい。

「……関係ないじゃん」

「関係あるんだよ。きみが元気でいてくれないと困る」

……なにそれ

私たちはただのクラスメイトじゃない。心の中でそう呟き、私は膨れてなにも言わなかった。