咲空の家に入るとそこには、驚く風景が広がっていた。
「お帰りなさいませ。咲空様。」
 たくさんの使用人さん達。
 しかも全員きっちりと整列していておじきも、している。
 使用人さんたち、何人いるんだろ、このお屋敷。
「愛姫の部屋、用意出来てるって。行こ?」
「うん。」
 さっき決まったばかりなのに、もう部屋の準備とかできてるんだ。すごいなあ。
 咲空について行くと、一番奥のドアの前で咲空は立ち止まった。
「ここが愛姫の部屋。」
 咲空がドアを開けて、部屋に入ることをうながす。
 部屋はとてつもなく広かった。
 そして、綺麗。
 部屋はピンクと白をメインにしていて、ベットはピンクの生地に白で豪華な模様が入っている。
 勉強机は白色なんだけど、引き出しが落ち着いたピンク色になっていてやっぱり可愛い。
 私はこの部屋を見た瞬間、この部屋が気に入った。
「わあ...。」
 驚きと嬉しさで何も言えなくなっていると、咲空がドヤっとした表情で、
「気に入ってくれた?」
 と、聞いてきた。
「すごく嬉しい...。
 ありがとう、咲空。」
 素直な言葉で感謝を伝える。
 すると咲空の顔が真っ赤になり、ベットに座り込んでしまった。
「顔、赤くなってるよ?
 大丈夫?」
 咲空のおでこに手を当てると、咲空の顔がより一層赤くなる。
 ...なんで赤く?
「?......!」
 私、顔触ってた...!
 急に顔触られるのなんて嫌だよねっ!
「ご、ごめんっ!」
「いや、だいじょぶ...。」
 謝ると、咲空は許してくれた。
 でも、顔は赤いし声は最後の方は消えそうになっている。
 私は私で心臓がバクバク言ってて、顔が真っ赤になっていることが分かる。
 コンコンッ
「咲空様、愛姫様。
 お食事の準備が整いました。」
 突然、使用人さんの声がドアの向こうから聞こえた。
「あ、ああ、今行く。」
 咲空は返事をして、立ち上がった。
 その声音から、私と同じように驚いているのがわかる。
 心臓が口から飛び出るかと思った...。
 私も、まだ早いままの、心臓の音を感じながら、立ち上がった。