十年後。
 時間はあっという間に過ぎて私たちは、成人し、お酒を飲み交わすようになっていた。
 みんなそれぞれ、夢だった仕事だったり、変わってしまったけれどやりがいを感じる仕事に就いていた。
 私は、幼稚園の先生となり日々、子どもたちと触れ合っている。
 咲良ちゃんは中学校の先生、りんちゃんはお花屋さん、莉理ちゃんと瑠奈ちゃんは、モデルの仕事を続けている。女優の仕事も持ち上がっているだとか。
 そして、詩歩ちゃんはお医者さんになった。
 十年前のあの時、ちゃんと詩歩ちゃんと本音で話せてよかったなって、今でも思う。もし、話さなかったら、今も気まずいままなんじゃないかなって。
 だから、あの時話しかけてくれた詩歩ちゃんには本当に感謝してるんだ。

「愛姫、おまたせ。」
「お疲れ様、咲空。」
 一人でいつもの公園で待っていると、仕事終わりの咲空がやってきた。
 十年前より背が伸びた咲空は顔も大人っぽくなっていて、カッコいい。
 私も、少しは大人っぽくなれているだろうか。
 考えていると、咲空の顔が真剣な顔になっていることに気がついた。
「......咲、空?」
 声をかけると、深呼吸して言った。
「愛姫さん、一生幸せにします。だから、俺と結婚してください。」
 ......本当に?
 あの時と同じ言葉が、頭に浮かんでくる。
「私、咲空が思ってるより、面倒くさい女です。
 それでも、いいの?」
「そんなことはわかってる。十年も一緒にいるんだから。そんな部分も好きだ。結婚してほしい。」
 緊張した表情でもう一度、同じように言う咲空。
 ......そんなの、答えなんて決まってる。
 溢れてくる涙は気にせず、自然と笑っていた。
「.......はいっ!大好き!愛してる!」
「あ!言われた!俺だって、愛してる!」
 これから先、私たちは、困難を乗り越えて、幸せを育んでいくことを誓います。