一週間が経ったけど、やっぱり好きって気持ちは、消えないでいた。
 だって、咲空が今まで通り優しく接してくれるんだもん。
 ......言い訳だよね。
 どうやって、忘れられる?
「...どうすればいいんだろう......。」
「え?」
 放課後の教室で、思わずこぼしてしまった。
 その声は、楽しそうに話していた、二人にも聞こえたみたい。
「ねぇ、愛姫、最近変だよ。何かあった?」
「え...?」
 真剣な顔になった咲良ちゃんに言われた。
「何もないよっ...。」
 じぶんでも笑みを浮かべてごまかすけど、咲良ちゃんはまだ私を疑っている。
「私は愛姫に、幸せになって欲しいって思う。
 でも、今の愛姫は幸せそうには見えない。」
 ...やっぱり、咲良ちゃんに嘘はつけそうにない。
「私も、そう思ってた。
 なんだか愛姫ちゃん、辛そうだなって。」
 静かに話を聞いていた詩歩ちゃんも、咲良ちゃんの言葉にうなずく。
「愛姫ちゃん、お話聞かせてくれない...?」
 そして、遠慮がちに手を握って、上目遣いで聞いてくる。
 私は、散々泣いたくせに二人の優しさにまた、泣いてしまいそうになった。

「...って、ことがあったの。」
 私が話を終えると、二人はまるで自分のことのように、泣いてくれた。
 それを見て私も泣いてしまう。
「愛姫、辛かったね。」
 目を赤くした咲良ちゃんが、優しく声をかけてくれる。
 詩歩ちゃんは、下を向いたままと静かに泣いていた。
 なんで、こんなにも優しいんだろう...。
 二人のことを見ていると、頭にそんなことが浮かんだ。
 だって、二人には何もなかったのにこうやって自分のことのように泣いてくれる。
 本当に素敵な友達を持ったなあ...私。
「よし愛姫、今日はフルーツサンド買ってあげる。」
 フルーツサンドは私の大好物。
 咲良ちゃんは赤くなった目を細めて、優しく笑らった。
 なんでそんなに優しいの...?
「ありがとう」
 また、涙は溢れてくる。
 咲良ちゃんはびっくりしたように、目を見開いてから笑った。
 気づくと、空は真っ暗。
 私たちがやっと泣き止んだ時には空にうっすらと月が浮かんでいた。