1番近くて、1番遠い。

父は俺の胸ぐらを掴む。


開闢前々総長だ。


「それが許されると思ってんのか?」


「思っていないからこうやって白状した」


「絶対に許さない」


「…六崎(むつざき)を、制覇すると言ったらどうだ?」


「六崎を?」


「ああ」


六崎といえば、隣の市で、この辺りでは1番治安が悪い。


不良など、そこら中にいるし不良の市と言ってもいいだろう。


「はっ、制覇でもしてみろ。お前の力ではできない。ただでさえいまだに変な奴がうろついてるのに」


「舐めない方がいい」


「今俺に掴まれているくせに?」


「今は抵抗してないだけ」


「口がへらない馬鹿息子め。俺は最低な父親だからな。止めない」


自覚はしているらしい。


「そんなもの、何年前から分かっていると思ってるんだ」


「…その女を守れるのか?」


「俺が守らなくとも自分の身は自分で守れるやつだからな」


「ほう」


「でも、俺が居たいんだよ一緒に。それに、俺がいないといけない時もある」


父は少し目力を緩めた。


「お前もお前なりに考えていることは分かった。でも、俺が欲しいのは結果だ。社会に出たら過程を評価してもらえることなんかほとんどない。分かってるな?」


そして、俺の服を離した。


「できるものならやってみろ」


俺はその場を離れた。