1番近くて、1番遠い。

この4グループの頭が会議以外に揃ったのは初めてだった。


それが今、散らばる。


このことが今までなんだかんだ言って仲良くしてきた4人の仲を本当に引き裂くような感じがして胸が痛かった。


けど、今はそんな場合じゃない。そんなこと分かってる、分かってるけど。



寂しいよ。



そう思った瞬間、後ろから何かが抱きついた。


首元に黒い生地の裾が見えて、手が優しく絡まっている。


知っている匂いで落ち着く温度。


こんなに身近になったことは今まで一度もないけど分かる。


「…気をつけて、な。美柑」


耳で囁かれた言葉は私の心まで温かくなった。


なんで、こんなに心臓が早いのだろう。


こんなに近い距離にいるからか。下の名前で呼ばれたからなのか。


全て合っていて少し違う。


この人が、私を“心配してくれたから“、”気にかけてくれたから”じゃないのか。


「う、ん…」


言葉を発することができただけ偉いと思う。


温かなものは少しずつ離れていく。


それが嫌だった。


この人と離れるのが嫌だ。


本能、感情ともに私がそう言っている。


亜湖と音葉くんと離れたくないのは少し違う。


あの笑った笑顔が、優しくしてくれる心が、少し抜けているところが、全部、全部、





好きなのではないだろうか。





そう気付いた瞬間、私の手はまた、私の考えとは別に暴走する。


私の手は、細くて折れそうな見た目とは違って意外と頑丈な腕を掴んだ。


そう。腕がすり抜けるのを止めてしまったのだ。


「…え?」


後ろからびっくりしたような声が聞こえた。


それはそうだろう。


音葉くんはもう、外そうとしていたのだから。


「あと、ちょっとだけ…、ごめんなさい」


そう言うと、緩まっていた手がさっきのように戻る。


ちゃんと後ろから抱きしめ返してくれたのだ。


私たちがこんなものに関係してなかったら、こんな身分じゃなかったら。


こんな関係じゃなかったら、もっとキラキラした青春を鳳雛学園で送ることができたのか。


でも、そうじゃなかったら真凜ちゃんや菜緒、茉響を始めたみんなに出会うことは到底なかった。