(嫌って言ったものの、教えないのはなんか可哀
想やな…)

放課後、部活中絵を描きながら千春は1人でそう考えていた。


突然だが、百宮千春は優しすぎる。口が悪く、「殴るぞ」とか「蹴るぞ」とか言っているが、所詮は口だけで本当に殴ったり蹴ったりしたことはない。したとしても、軽く当てるぐらいだ。痛くない。人は傷付けてはいけないと心に深く刻まれているからこそできないのだ。しかもそれは物理的なものだけではない。ほんの些細なことでも相手を傷付けてはいけないと思い、言葉を選んでいるため、本当の思いを言わないことが多い。考えてからしゃべっているが、後から考えたり、後悔したりすることは少なくない。


1人で抱え込むこともあるが、友達に聞いてもらうこともある。