「今のお前を嫉める人間なんてそういないよ。ザラはここにいる誰よりも綺麗だし、誰よりも強いし。何より、自分たちを守ってくれた功労者なんだから」

「――――それ、御令嬢方が知るのは今日じゃないでしょうに」


 ここに辿り着くまでの様子から察するに、騒ぎを知っているのは魔術科の生徒たちと生徒会に近しい極一部の人間だけだ。


「第一、わたしがしたことと言えば、首謀者たちを捕えたことであって、爆発を喰いとめたわけじゃないですもの」


 殿下の唇が額に触れる。心臓がドキドキとして堪らなかった。


「ザラがいなかったら俺は爆弾に気づけなかった。爆発だけを食い止めたとしても、あいつらは魔法で騒ぎを起こしていただろう。今日の功労者は間違いなくザラだよ」


 ゆっくり、ゆっくりと殿下はわたしを抱いて動き始める。繋がれた手のひらが、寄り添う身体が熱くて堪らない。