あやめの写真をスマホ越しに眺めている父は、何気なく私に尋ねる。
洋服を喜んできているあやめを見ていると、秋人にもこの姿を見せてあげたいとつくづく思う。
業務以外で連絡をとるのは、悩ましいけれど……。
「うん、やっぱり礼儀としてそうするべきよね。あき……じゃなくて。葛城さんもお店の人といっしょに選んでくれたみたいだから」
私が笑顔で答えると、父は近くにいたあやめの頭をぽんぽんと撫でる。
「そうかぁ、あやめよかったなぁ。優しい葛城さんにありがとしないとな」
「かちゅらぎたん……?」
「この前、あやめが風邪をひいたときに、ママをお家に送ってくれたお兄さんだよ」
私が軽く説明すると、あやめは前のめりになって目を輝かせる。
「かっこいい、おにいたん! らびいのかれし!」
あやめがいう“ラビィ”とは、海外の人形ブランドだ。
その主役の女の子には彼氏がいるのだけれど、あやめは秋人と重ねているらしかった。
それにしても、こんな小さな子も“かっこいい”という認識があることにいつも驚かされる。
女の子ってほんとにませているのだ。
「じゃあ、お兄さんにお写真送るから」
「うん!」

